INTERVIEW

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介護施設 副園長
有馬 万紀子さん

人の幸せをサポートしたい。そして、自分自身も幸せでありたい。

~ プロフィール ~
静岡市出身。関東の大学・大学院にて高齢者福祉、メンタルヘルスを学び、静岡県内市役所の福祉事務所での勤務を経て、2015年より楽寿会に入職。現在は特別養護老人ホーム「楽寿の園」の副園長として、園全体の運営に携わる。社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、介護支援専門員の資格を持つ。
介護施設
社会福祉法人 楽寿会
特別養護老人ホーム 楽寿の園
副園長 有馬 万紀子さん(2021年取材)
   
まずは、この仕事を選ばれた理由をお聞かせください。
これはもう、運命としか言いようがありません。私の祖母が楽寿会の創設者であり、現在は父が理事長なんです。生まれた時から楽寿の園で育ち、周りにはいつもお年寄りがいて、ここで働くことが当たり前だと思っていました。大学で高齢者福祉を専攻したのですが、高齢者の自殺問題に触れ、心のケアの重要性を感じ、精神保健福祉についても学んだのです。学べば学ぶほどメンタルヘルスへの興味が深まり、精神保健福祉士の資格も取得しました。大学卒業後は、資格を生かして静岡県内の市役所の福祉事務所で働きながら大学院に通い、高齢精神障害者をテーマに研究していました。
楽寿会に入る前に、福祉事務所で働いたのはなぜですか?
制度や法律も含め、幅広く福祉への理解を深めたいと思い、福祉事務所に入職しました。とてもやりがいのある仕事でした。うつ病や統合失調症など精神障害の方のケアが仕事なのですが、今でもあの職場に戻りたいと思うほど、とてもやりがいのある仕事でした。例えば、病気によりひきこもり状態にある方と2年掛け信頼関係を築くと、ある日「病院へ行くよ」と言ってくれた時は、本当に感動しました。他にも自殺願望のある方や児童虐待、摂食障害など多くの方を担当し、笑顔を見ることができた時の喜びは今でも忘れません。
「心のケア」に従事した経験は、今の仕事にも生きていますか?
楽寿の園に来てからは、「高齢者のこころの健康づくり」について地域向けの講座を開催したり、障害者雇用も積極的に行っています。職員やその家族の相談に乗ることもよくあります。先日は、職員からうつ状態になったお母さまの件で相談を受けました。副園長という立場上、相談しにくい面もあると思うのですが、何か困ったことがあったら私に遠慮なく相談してと、いつも声を掛けています。
今はどんな仕事をされているのですか?
副園長として、運営管理から広報、現場での細かな指示など幅広く、何でもやっています。他にも、小学校への福祉教育や、地域貢献活動にも力を入れています。認知症の正しい理解を住民の方に知っていただくための講座や交流会などを行う「認知症カフェ」を月1回開催しています。昨年はコロナ渦で開催が叶わなかったのですが、現在はオンラインでの開催を目指しています。子育て不安にも対応できる子育てサロンも行っていました。何でも、まずはやってみようという性分なんです。自分でやってみて消化して。本当は、自分が動いてばかりではいけないんでしょうけど(笑)まずは自分が体感することを大切にしています。
有馬さんが仕事をする上で大切にしていることは?
「多くの人と出会い人の話をよく聞くこと」です。会話の中で、みなさんが求めていることがわかってきます。その求められている内容を、事業化するのです。また、何事もプラスに転換して、柔軟に対応することですね。ノートルダム清心学園理事長であった渡辺和子氏の、「置かれた場所で咲きなさい」という言葉のように、「今、自分が置かれた状況の中で、自分に何ができるのか」を考えて、何事も楽しく、周りも幸せになって、自分も幸せになるようにと思って仕事をしています。
楽寿の園では、どんな人材を求めていますか?
私たちは、介護を広い視点で捉えているので、バラエティ豊かな人材を求めています。例えば、大型トレーラの運転手や、これまで専業主婦で一度も仕事経験のない人など、色々な人に、介護の仕事をしていただきたいんです。ここは生活の場であって、高齢者の方も色々な経験をされている方がいます。多種多様な経験を持つ人がここで働いて、生活を支えてくれることが、楽しく豊かなコミュニティを作るうえで大事な事です。実際に、女性ドライバーや農業従事者など、介護未経験の人が、働きながら介護福祉士の資格を取得し活躍しています。未経験者を育てるプログラムが充実している事が、楽寿の園の強みでもあります。
新卒でも、福祉の勉強をしている人はもちろん、外国語学科など福祉を全く勉強していない人も入社しています。最近は特に増えてきています。
未経験者大歓迎なんですね。楽寿の園で女性が働く上での、メリットやデメリットはありますか?
介護の世界は、女性が多く活躍している業界です。介護は力仕事と思われがちですが、正しい技術を身につければ、力は必要ありません。体力に不安のある女性でも、高齢者を車椅子からベッドに移動することができます。女性であることのメリットはあっても、デメリットはありませんね。子育てしながら働いている女性も多く、産休・育休からの復帰率は100%です。現在、約300人のスタッフが働いていますが、離職率が低いのも楽寿会の特徴ですね。
離職率が低いのは、働く環境が良いからでしょうか?
それももちろんあると思います。有給休暇は40時間まで1時間単位で取得でき、お子さんが体調を崩した時にも使えると好評です。この制度は10年以上前から導入しています。他にも、看護休暇や介護休暇を別に設けています。取得率も高いんです。今日も「親の介護があるので」という介護休暇の申請があったのですが、届出書を見ると嬉しいんですよね。職員の生活、家族を支えていることに貢献できているという喜びが、そこにはあります。でも、離職者が少ない一番の理由は、職員と理念の共有ができているからだと思います。
理念の共有が、働きやすさにつながっているということですか?
そうです。楽寿の園では、「高齢者への尊厳」を理念に掲げ、理事長の考えに賛同し、応えてくれる職員が揃っているんです。自分の会社の理念は何か尋ねられて、すぐに答えられる方はどの位いるでしょうか。ここでは全員が「高齢者の尊厳を大切にする」と答えると思います。
虐待防止や言葉遣いには独自のチェックリストが有り、理念を体現するための評価基準があります。職員は、自己点検をしながら高齢者に対してあるべき姿を常に意識するようになっています。理念をぶれずに形にできることが、働きやすさ、やりがいにつながっているのだと思います。
園全体として、社員教育で力を入れている部分は、どんなところですか?
特徴の一つとしては、人間性を高める事です。介護は、知識と技術と理念が大切ですが、その理念の部分は、人間性に大きく関わってきます。人間性を磨くための教育として、月に1回、茶道教室を開催しています。人の立場に立って物事を考えたり、普通は気づかない細かい部分まで配慮できる心を、茶道から学んでいます。
私達は、心地よい介護を目指しています。心地良さを感じていただくには、優しい表情や言葉掛け、確かな介護技術はもちろん、自立支援やプライバシーの保護、説明や選択肢を提示し、自己決定を尊重するなど、あらゆる専門性を駆使してケアにあたる必要があります。これは訓練しないとできないことで、日頃の研修で学んでいきます。経験豊富なベテラン職員が揃っているので、高齢者の尊厳を守る介護をしっかりと教えることができます。また、介護技術をしっかり学ぶことは、職員自身の負担を軽減し、身体を守ることにつながります。介護のコツをしっかりと習得すれば、身体に負担をかけずに長く健康に働くことができるのです。例年行われている静岡県主催の介護技術コンテストで9回中7回最優秀賞を受賞しており、日頃の修練の賜物だと思います。
研修が充実しているのも離職率が低い大きな要因ですね。
社員にはどうあってほしいとお考えですか?
人の幸せを手助けし、自分も幸せになりたいと考える人です。福祉の仕事に携わり、生きづらさを抱えている方とたくさん出会う中で、誰ひとりこんな辛い思いをさせてはいけないと感じてきました。誰もが幸せになってもらいたいし、そのためには自分も幸せでなければいけないという思いが、人一倍強いのかもしれません。ですから職員にも、ここに入って、仕事と家庭や自分の趣味を両立して、幸せになってほしいと思っています。高齢者の尊厳だけでなく、職員の尊厳も大切ですから。
最後に、この仕事、この会社で良かったと思う瞬間をお聞かせください。
単純な話ですが、高齢者の方からの「ここで生活できて嬉しい、楽しい、ありがたい」という声、職員からの「ここで働いてるお陰で、子どもを大学まで出せた」「ここの職員で本当に良かった」といった声を聞いた時や職員の活躍を目の当たりにした時ですね。当たり前のことですが、ここにいる高齢者や職員を守っていかなければと強く思います。
私は周りに恵まれていて、いつも助けられています。本当に感謝しています。
「人の幸せを親身に考え、自分も幸せになりたい」という方の応募をお待ちしています。
法人概要
社会福祉法人 楽寿会
静岡県静岡市葵区与左衛門新田74-6
http://www.rakuju.or.jp/